その日、私たちは博物館という名の化石アイドル劇場へ足を踏み入れた。
恐竜の骨を眺めて「俺が進化の頂点だぜ」とでも思いたかったのだろうが、現実はただの人間の家族散歩。

エントランスにはLophorhothon atopusの像がドヤ顔で待ち構えていた。
名前からしてSNSでイキったインフルエンサーみたいで、化石にまで虚栄心を見せつけられるとは思わなかった。

娘のリーボが「こっち見てる気がする」と無邪気に言った。 しかし私には、化石に監視される恐怖しか残らなかった。だって見てよ、その無表情ぶり。

一階ではカメ展を開催中。 壁からニョキっと顔を出した巨大なカメの模型に、息子のターボが突進した。 甲羅の旅人ヅラで「太平洋の8割は俺の庭」と自慢げに語り出したが、誰も頼んでなかった。

カメを蹴って展覧会を抜けると、今度はギガノトサウルスの化石が睨みつけてきた。 「汚らわしい人間どもめ…」とでも言いたげなその視線に、私のハートは瞬時に3割凍結。

同じフロアのFernBankCafeで一息つくことにした。 ローストビーフ入りサンドイッチを頼んだら、味はコンビニ弁当の廃棄寸前レベル。 US$9.5(約1,400円)の痛みは、財布だけでなくプライドにも深い傷を残した。

最後にFernBankForestへ。 ペタルポッドとファーンポッドは「隠れ家」気取りの高級段ボールで、下から漏れる灯りはまるで誘蛾灯。 星を観察したい気もしたけど、夜は怖いからそっと逃げ帰った。